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Essay    Japanese only
   File 010 : Little Black Sambo / アウトビアンキA112(これまでに所有したクルマたち(3))        



前回のEsseyNo.4では学生時代に最後に所有した「イタリアン・メイドの」ミニについてお話しました

今回はその次に結婚してから手に入れた、アウトビアンキの話をしようと思います。

大学を卒業するときに持っていたミニとベスパは売り払ってしまいました。住んでいた九州から

会社のある東京へ引越しするときに会社から来た案内には「駐車場がないから車は持ってくるな

」とあったのが原因でした。

また別の機会にお話しますが、会社に入って最初に手に入れたのはベスパでした。会社の寮に

入ってみると、駐車場はあるにはあったのですが全寮生数百人に対して20台分ほどしかなく、申

し込んでも回ってくるのはいつのことになるのか分からなかったし、寮の周りの一般駐車場では

高すぎて、車のローンと同じくらい毎月払わねばならず、一旦車を諦めたのでした。

結婚して社宅に入ると駐車場はさすがに1家庭1台分あり、そこで再び車を持つチャンスが到来

したわけです。ただ、薄給な身ですから学生時代と同じく、「手ごろな値段の」「イタリア製」「中古

車」と決めて、中古車雑誌などを見たりしていました。

そこで学生時代から興味のあった「アウトビアンキ・A112」というのが候補に浮上してきました。

1969年に発売になり、1987年に生産中止となるまで日本でも人気のあったFF小型車で、アウト

ビアンキというイタリアのメーカが作ったモデルです。1969年にはすでにフィアットに吸収されて

いて、アウトビアンキはフィアットのパイロットモデル(先行モデル)の役割を担っていました。です

からA112はフィアット初の小型FF車として、のちに発売されるフィアット126の先行モデル、という

位置付けでした。

しかし、A112はミニにも負けず劣らずの優秀なデザインと、903ccながら「回せば走る」イタリアン

なエンジンが魅力でした。また、イタリア車好きにはおなじみの、アバルトがチューニングしたモデ

ルが存在することも有名で、日本ではこのA112アバルトが今でもたくさん存在しています。

なので、ぼくが探したのもA112のアバルト、でした。いくつかの中古車屋を回って車を見て回り

ましたが、程度のよいものは120万円ほどして、当時のぼくでは買えませんでした(ローンを組み

たくなかった、というのもありました。ローンは会社に入って買ったベスパでもう懲りていたのです)

ところがある日たまたま目にした中古車雑誌に程度の良さそうな、1987年最終型のA112が載って

いました。アバルトではない、903ccエンジンのモデルでいわゆるJuniorと呼ばれるものと同型です

。ただし、この最終型のみJuniorとは呼ばれず単に「A112」と名づけられていました。

さっそく中古車屋へ見に行き、67万円のプライスタグのついたこの黒いA112を試乗しました。

903ccエンジンはわずか45馬力ほどしかありませんが、4速ギアを目いっぱい使って走ると、それ

は小気味よく走りました。これぞイタリア製小型車の真骨頂、てなもんです。錆び易いボディも

ヤレやすい室内もそこそこきれいで、そういう意味では悪い買い物ではなかったと今でも思います

。日常使いではクーラーのないことが唯一の欠点でしたが(このことが後に子供ができて買い換え

る一つの理由でもありました)三角窓もあったし、何より本当に運転して楽しい車でした。

夏休みには社宅のあった横浜から実家のある九州まで往復2000kmを元気に走りましたし、過去

にぼくが所有した車のなかでは一番楽しい車で、またこの車が縁でいろいろなイタリア車の知り合

いが増えたこともぼくにとって収穫でした。

九州までのロングツーリングのときに実家近くでマフラーが突然折れ、それを応急処置で直した

ものの、のちに再び折れたため、ついに買い換えることを決意するまで約1年ほどしか乗りません

でしたが、今でもこの車ほど運転して楽しかった車はないと思います。ただ、残念だったのは売る

に売れず、とあるお店で18万円でしか引き取ってもらえなかったことでした。(そのお店がのちに

マフラーを修理して85万円のプライスタグを付けていたのもショックでしたが)

このエッセイのタイトルを「ちびくろサンボ」としたのは、小さくて黒いこの車を妻が「サンボ」と呼ん

でいたからです。(27 Jun.,2004)





                      
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