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Essay    Japanese only
                       File 011 : Vespa, Mi Amore! / ベスパとフリーモッド(1)        



ベスパについてはたくさん書くことがありますが、ま、順を追ってお話しましょう。

初めてベスパを手に入れたのは学生時代でした。今考えてもどうやってベスパというものを知る

ことになったのかが分からないのですが、この辺はひょっとしたら弟が良く知っているかもしれま

せん。

ぼくの記憶の中では、先にベスパがあって続いてクラブマンという雑誌にベスパの特集があった

ことでした。この雑誌は本屋でたまたま見たものなどではなく、大学の生協の本屋さんにわざわざ

バックナンバーを注文して取り寄せたので、よく覚えています。

初めて手に入れた、125ET3というモデルは文字通り125ccですが俗にビンテージモデル、と言わ

れていて他にラインアップされていた50ccや100ccと同じボディでした。

ベスパのあらゆる特徴が、ぼくを虜にしました。ワックス掛けしないと錆びる鉄板ボディ、左手グ

リップの4速ギア、キックのみのエンジンスタート、ガソリンに対して2%のオイルを混ぜる混合給油

そして何より愛らしく、50年代・60年代から引き継がれるそのスタイル。ベスパを好きな人なら誰も

が感じるその特徴の全てがぼくにとってうれしく、ベスパでなければ、と思わせる理由でした。

そして、このベスパが今のぼくの嗜好・思考・志向の全てを決めた、といっても過言ではありませ

ん。イタリア車、ファッション、タバコ、もともと好きだったビートルズから繋がる60年代ブリティッシ

ュ・ビートはこのベスパをキーワードに繋がっていったものでした。

ベスパを好きな人の中に、モッズと言われる人たちがいます。これは60年代イギリスで流行し、

その後79年くらいにもネオ・モッズとして復活したスタイルで、細身のスーツもしくはフレッドペリー

などのポロシャツを着て、ベスパ(もしくはランブレッタという、やはりイタリアのスクーター)をデコ

レーション改造したものに乗り、モッズパーカーといわれるコートを羽織って、ダンスクラブに出か

けて50年代・60年代のR&Bにあわせて踊る、というのがその代表的なスタイルです。最近DVD化

された79年イギリス映画「さらば青春の光(原題:Quadofenia)」でその勇姿や有名なブライトン

(イギリスの代表的な保養地)におけるロッカーズとの戦いをみることができます。

ぼくはこのモッズのことは否定しません。というよりもむしろ好きなくらいです。ただ、22歳だった

当時は「モッズなんてガキの集まりで、なにより「群れる」ことが面白くない」と思っていたぼくは

弟とともにフリーモッドを標榜していました。ファッション優先でベスパに乗る彼らにベスパに関す

る知識がないこと、さらにぼくの大好きな60年代ビートに詳しいわけでもない(と感じた)その中途

半端さが気に入らなかったのです。

でも今でもDVD「さらば青春の光」はお気に入りの1本です。ぼくはいわゆるモッズにはならなかっ

たけれども、オープニング・シーン、ロンドンの町を主人公のジミ−が派手なランブレッタに乗って

The Whoの曲The Real Meをバックに疾走するシーンなどは何度見ても鳥肌が立つほどです。

あの精神性、衝動、青春は今でもぼくがフリーモッドを自称する上での元となっていることは言う

までもないこと、なのです。そして来月はそのThe Whoが初来日します。もはやメンバーは耳に

障害のあるPete TownshendとボーカルのRoger Daltlyしかいないけれど、もしThe Real Meをや

ってくれるのなら、ぼくはどんな理由を作ってでも帰国するのだけれど・・・

(27 Jun.,2004)





                      
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